IQM Quantum Computers、OpenOcean、Lakestar によるレポート「 State of Quantum 2024 」によると、世界のVC投資は2022年の22億ドル(3,300億円)から12億ドル(約1,800万円)に減少し、その減少分のほとんどは米国のファンドからのものという。
レポートによると、米国における量子コンピューティングへの投資は約80%、アジア太平洋地域では約17%減少し、EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)地域ではわずかながら3%の増加となった。
以下の要因が指摘されている。
2022年に遡るこの技術に対する期待の高まりから「量子コンピューティングの実用的な意味合いはまだ何年も先のことであるという理解」とともに、「抑制された期待」が求められている
生成AIが量子スタートアップから注目と資金を引き離し、VC各社は量子よりも生成AIの方が短期的・中期的なリターンの可能性が高いという一般的な見解を示した
量子コンピューティングが、伝統的にハードウェアの新興企業に投資しているファンドからの関心を引き付けていない
一般的なディープテックへの投資が前年比で50%減少しており、量子と一致している可能性がある
しかしながら、レポートに引用されている投資家やベンダーは、VC企業からの量子コンピューティング投資の減少を、新たな「量子の冬」が定着した兆候とは言えない、とした。
その理由して、今後10年間で400億ドル(約6兆円弱)に達する量子コンピューティングへの政府支出の約束によって、この落ち込みは小さく見えると。英国、米国、EU、その他30の政府から約400億~500億ドルが割り当てられている。
GlobalDataのシニアアナリストMichael Orme氏は以下のように語っている。
「2023年の量子コンピューティングに対する民間と公的セクターの関心のミスマッチは驚くべきことではない、VC企業に関する限り「資本過剰で供給過剰」であり、この技術を商業化する短期的な見通しはほとんど立っていない。一方で、政府には国家安全保障という異なる優先順位がある」
政府は量子計算による脅威への対応を急ぐ必要があるが、民間は現在「資本過剰で供給過剰」であると。