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コラム:D-WAVEが抱える経営危機の今後

D-WAVEは現在2つの危機に直面しています。


上場廃止の危機


同社は2023年10月20日にニューヨーク証券取引所から、普通株式の終値平均が連続30取引日にわたり1ドル未満であったため、上場要件を満たしていないとの通知を受けています。


証券取引所に対して、「株価不足を解消し、同証券取引所の上場基準に適合するよう復帰する意向であることを通知」していますが、6ヶ月以内に株価を30日間の終値平均1ドル以上に戻す必要があります。


マガジンでは「D-WAVE、機関投資家の応援」この記事でお伝えしました。


2/8時点まで同社の株価は0.88ドル近辺であり、このままでは証券取引所からの要件を満たすのは困難と思われました。しかし、9日には1ドルを越え16日現在の株価は1.74ドルと持ち直しています。30日間の継続により上場廃止は免れるかもしれません。


当マガジンでは動向が分からないためリリースを控えていましたが、株価を支えるニュースが立て続けに発表されていました。1,200以上の量子ビットAdvantage2プロトタイプが利用可能であることを発表。そしてこのシステムを「現在顧客が利用できる最もパフォーマンスの高いシステム」とプレスリリース、およびX (旧 Twitter)への投稿で注目を集めました。


また、Zapata AIとの量子機械学習を使用したソリューション開発で提携なども9日に発表されています。


しかしながら、他の量子関連企業がニュースリリースにより株価を大きくあげることは最近ではなかった点を考慮すると、以下の理由が大きいのではないかと考えています。


機関投資家のサポートは上の記事で紹介しましたが、9日にはヘッジファンドのRaymond James & Associatesが同社株4万4510株(約4万3,000ドル相当)を取得したことを発表しました。株価上昇の理由としてはこちらがメインではないでしょうか。




集団起訴


「D-Waveの投資家向け:株主の権利に関する法律事務所Bragar Eagel & Squire, P.C.の呼びかけ」こちらの記事でお伝えしたように、株主の権利に関する法律事務所Bragar Eagel & Squire, P.C.が集団起訴に向けて動いています。


新たに10日にはPomerantz法律事務所が、また16日にはLaurence Rosen法律事務所が株主を代表して集団起訴の準備を進めているニュースがありました。





今後


3月10日まで株価1ドル以上を維持することで上場廃止は免れることができます。そのことで数件の集団起訴も大きな問題とはならないかもしれません。しかし「D-Waveが連邦証券法に違反したかどうか、および/またはその他の違法なビジネス慣行に関与したかに関する調査」は続けられ、再び株価低迷に陥るようだと継続は厳しさを増してくるでしょう。


h.hayashi

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