2024年は、顧客、ソリューション・プロバイダー、ベンダーにとって、AIはおそらく最もエキサイティングな技術進歩となるでしょう。
The Channel CRN では昨年資金調達を行ったスタートアップの一部をレビューし、多くの要素を検討した結果であるとした「注目すべきAIスタートアップ10社」を掲載したので、取り上げられた10社とそれぞれの概説を紹介します。
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●Robin AI(ニューヨーク、ロンドン)
契約ライフサイクル管理(CLM)サービスを展開。契約レビューを85%高速化するとしている。同社によると、これまでに50万件以上の契約を処理して、1億以上の条項を使いAIをトレーニングしたという。
●Imbue(サンフランシスコ)
推論AIシステムの構築を進めています。昨年9月、10億ドル以上の評価額となりシリーズBラウンドで2億ドルを調達。NvidiaのAstera Institute、Cruise CEOのKyle Vogt氏、Notion共同創設者のSimon Last氏などが参加している。翌月には、AmazonのAlexa Fundと元Google CEOのEric Schmidt氏がこのラウンドにさらに1,200万ドルを寄付した。
●Anthropic(サンフランシスコ)
2021年、OpenAIの元幹部らが退職し、ライバルのAnthropicを立ち上げた。同社の製品Claude2は7月に発表され、ChatGPTと対戦している。続く9月には、ユーザーが月額20ドルを支払うと、Claude2の5倍の使用量と新機能への早期アクセスができる 「Claude Pro」も発表。AmazonはAnthropicに最大40億ドルを投資するとし、Googleは既に4億5,000万ドルの資金調達ラウンドに参加した後、追加で20億ドルの投資を発表している。
●Cohere(トロント)
Cohereは自社を企業向けAIプラットフォームとしてブランド化している。調達への参加はNvidia、Oracle、Salesforce Ventures、SentinelOneなどが含まれる。
●Inflection AI(カリフォルニア)
MicrosoftがOpenAIと並んで力を入れているのがこの企業。 Inflection AIへの13億ドルのラウンドの投資家の一人にはBill Gates氏が参加した。他にNvidia、元Google CEOのEric Schmidt氏が投資している。パーソナルAI「Pi」をリリースしており、次バージョンは昨年12月、35か国においてAndroidで利用できるようにしている。
●xAI(カリフォルニア)
3月にスタートし、11月にChatGPTの競合である「Grok」の初期ベータ版をリリースした。12月5日の時点で、1億3,500万ドル以上を調達している。今のところxAIの早期アクセスプログラムは、Elon Musk氏のソーシャルメディア会社のプレミアム加入者に限定されている。Oracleとの繋がりが注目されているようだ。
●Concentric AI(カリフォルニア)
ビジネス・クリティカルなコンテンツを検出して保護することで、データ・セキュリティ ニーズに対処できるよう支援することを目的としている。業界初の機密データの検出、識別、リスク監視、および修復保護を備えたセマンティック・インテリジェンス・データ・セキュリティ体制管理 (DSPM) サービスを更新しており、Zoom、Microsoft Teams、WebEx、その他の一般的なコラボレーション ツールを使用した会議でやり取りされる機密データを保護するといている。
●Akkio(マサチューセッツ)
昨年10月に、中小企業向けで接続されたデータとプロジェクトのユーザー記述から、リアルタイム・レポートを自動的に作成する生成レポートAIツールをリリースした。ユーザーは、収益の予測、リードのスコア付け、顧客エクスペリエンスの向上、その他のアクティビティを実行することができる。昨年8月、AkkioはシリーズAラウンドで1,500万ドルを調達しており、Bain Capital VenturesとPandomeが参加している。
●ZeroEyes(ペンシルベニア)
AIベースの銃探知ビデオ分析プラットフォームベンダー。学校、学区、州議会議事堂を含むより多くの顧客を獲得。同社によれば、さまざまな商業部門やインフラ部門にわたる銃関連の暴力を分析するための研究センターも設立したという。
●NobleAI
NobleAIは、高性能で、環境的に持続可能で、信頼性の高い化学・素材製品を開発するための科学的根拠に基づくAIをユーザーに約束するとしている。このスタートアップのAIは、正確な予測と設計を目指しており、分子から材料、配合物、完全なシステムに至るまで拡張可能。このテクノロジーは従来の機械学習よりも正確で、また従来のシミュレーションよりも高速かつ低コストであると宣伝されている。
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「生成レポートAIツール」、「銃探知ビデオ分析」、「化学・素材製品開発」、そして「ビジネス・クリティカルなコンテンツを検出・保護」。ユースケース毎のAIサービスに興味を惹かれます。今年は生成AI充実の年という認識が一般的ですが、AIが持つポテンシャルはそれに留まらないのを改めて確認しました。
量子計算による飛躍を楽しみにしながら、現状のAI進化を追っていきたいと思います。
1社ごとの詳細は、The Channel CRNに掲載されたこちらの記事を参照。
(編集部)