量子技術への取り組みは、世界中の政府が主導しています。そして産業界でもっとも力を入れているのが金融業界です。
Moody’s Analyticsは、量子コンピューティングのマネージングディレクターであるSergio Gago Huerta氏のチームが、量子コンピューティングがどのようにビジネスに活用できるかを探っています。
Quantinuumは、ヨーロッパ最大の銀行であるHSBCと量子のユースケースを研究し、RigettiはNASDACと量子の金融応用に関して提携、またマネーロンダリング検知に力を入れています。
Mastercardは、D-WAVEと量子ソリューションを模索、オランダの多国籍銀行および金融サービス企業であるRabobankは、Quantum Computing Inc. (QCI) と不正検知に取り組んでいます。
イギリスに本店を置く世界最大級の銀行であるHSBCは、BTと東芝が構築している商用量子セキュア通信ネットワークへの参加を発表しました。
他にもGE ResearchとIonQ、三菱UFJ銀行はGroovenautsに投資、など金融業界はいち早く量子企業との取り組みを進めています。
ロンドンを拠点とする出版社CryptopolitanのHPに、フィンテック・アナリストのエディターPatrick氏が、「AIと量子テクノロジーが金融業界に革命をもたらす」というAQとサイバーセキュリティに関するコラムが掲載されたので紹介します。
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・AIがもたらしている金融革命
膨大なデータをリアルタイムで分析する機械学習アルゴリズムは、市場の傾向、リスク評価、顧客の行動について深い洞察を提供。これにより、業務の合理化、顧客サービスの向上、投資の意思決定が強化された。
chatGPTなどの言語モデルの他、ナレッジ グラフ、ベイジアン学習、AI シミュレーション、時系列分析などのAIツールも金融アプリケーションで重要な役割を果たしている。
・AQ時代のサイバーセキュリティ
ハッカーもAIを活用して、スピアフィッシング、顧客データの分析、音声模倣、不正取引など、より高度な攻撃戦術を開発した。これにより、外部セキュリティ境界ではもはや不十分であるため、金融機関は「ゼロトラスト戦略」を採用する必要がある。
大手の銀行などは暗号アジリティを実装し、資産、知的財産、顧客情報を保護するためにポスト量子暗号への移行を進めている。
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これらの他にも鍵配布の重要性、NVIDIA等のGPUの役割、株主の期待、投資と警戒の必要性などに関して書かれています。以下は全体の取りまとめです。
AI と量子技術 (AQ) は金融を再定義し、リスク評価、不正検出、ポートフォリオの最適化を強化します。
AQ 時代のサイバーセキュリティの課題には、ゼロトラスト戦略とポスト量子暗号が必要です。
金融機関が競争力を維持するには、AIと量子の導入は必須であり、オプションではありません。
昨年末から今年はじめは、このようなコラムが多く書かれています。マガジンではそれの幾つかを紹介していきます。